英ポンド/円相場は、123~124円を中心とした狭いレンジで揉み合う展開になっている。英経済独自の材料が乏しい中、明確な方向性を打ち出せていない。ユーロ相場の軟化がポンドの上値も圧迫するが、大きな値動きには発展していない。
7月4~5日に開催されるイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)では、資産買い取りプログラムの規模が現行の3,250億ポンドから3,750億ポンドまで拡大した。声明では、「財政緊縮に加え、信用環境が引き続き逼迫化しており、ユーロ圏の緊張の高まりが英経済への一段の足かせになる中、金融面での追加刺激策が実施されなければ、インフレ率は中期的に目標を下回る可能性が高い」と総括されている。マーケットの一部では750億ポンドの追加緩和を期待していた向きもあったが、今後の政策対応の手段を残す意味でも、概ね市場コンセンサス通りの対応に留まっている。
7月10日に発表された5月英鉱工業生産指数は前月比+1.0%、製造業生産高は+1.2%となり、ともにマイナス予想を裏切るポジティブな数値になった。ただ、これをもって追加緩和策が不要になったと見る向きは少なく、ポンド相場に対する影響は限定されている。足元では欧州債務問題が一服しているが、英経済環境の改善は先送りされる中、イングランド銀行が追加緩和策に踏み切る可能性が高い基本環境に変化は見られない。ポンド相場の上昇余地は、限定的とみて良いだろう。
今後1週間の予想レンジは、122.50~124.50円。